氷河期男の咆哮

ロストジェネレーションサラリーマンがお送りする育児、書評、時事情報です。

英国国民投票について雑感

 想定の範囲内ではありましたが、イギリスEU離脱が決定的になりました。いろいろすげーなって思います。まず、国益を損じる可能性があっても、民主主義の原点である多数決によって舵を取るという手法が、イギリスというバリバリの先進国において取られるというのがひとつ。誇り高きイギリス人とかそういう問題を超えてます。

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 日本ならそんなこと絶対ありえない。アメリカとの同盟との解消の是非を問う、国民投票をしたら、同じように一般庶民が疲弊しているわが国でも解消という答えを出す人は少なくないはずです。まぁ大前提として憲法にそんな方法がないんですけど、そういう方向にもっていこうという議論すら起こらないでしょう。旧体制は変えない。既得権益を守るというのが国是のようなもんですから。このお国柄の違いを改めて思い知らされました。今日が歴史の分岐点だったか、いつの日か語られる日がくるかもしれないですね。

金融政策を一瞬でフイにするマネーゲーム

 そして金融市場の動きですよ。離脱はと残留派の票数の度にリアルタイムで大きく値が動く。投資家にはゲームを構成する要素でしかないんですよね。イギリスがどうなるかなんてのは。日経先物はサーキットブレイカーを発動しました。実にアメリカのテロとリーマンショック以来のことです。ウォール街が主導する金融システムは日々複雑に発達し、今やこの地球上に投資家のメシの種にならないものは存在しないのではないでしょうか。

 金融ビームに照射されればあらゆる資産はアイスのように溶けて流動化し、アフリカからアジアから北極の地の果てからも、吸い寄せられるように投資家の手元に流れていきます。その相似形が各国でも起こっている結果が貧富の差の拡大です。いくら国が富んでも上位者に資産が集まっても、ごく普通の生活を営む国民が恩恵に与ることはありません。むしろ害があるだけです。

止まらない世界のナショナリズム

 すでによく言われていることですが、格差と右傾化は密接に繋がっています。不遇な人間が他社を排斥したくなるのは至極まったとうな成行です。言葉は悪いですが「金持ち喧嘩せず」です。余裕がありゃ人には優しくなれますが、追い詰められた者に他人を顧みる余裕なんてありません。怨嗟の渦を止める術は現代社会は持ち合わせず、この英国国民投票はほんの始まりに過ぎないのではないかと思っています。

 この世に生まれて最も大きな歴史の分岐点の日だったかもしれない。そんな風に思いました。

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