氷河期男の咆哮

ロストジェネレーションサラリーマンがお送りする育児、書評、時事情報です。

ヤラセと演出はそもそも並列に論ずべきものなのか

演出は誰のためにするものなのか

マスコミがマスゴミと言われるようになって久しい。本当にゴミかと言われれば少なくともネット上にあるコピー記事の方が遥かにゴミだと僕は思う。とはいえ放送業界がどうしょうもないなと思うのもまた事実。定期的にネツゾーだヤラセだとネットで騒がれ、テレビは信頼を落とす。何回も問題になってるのにまたやる。このたびのTBSの出演者CG消し騒動も、きっと受け取る側にはさしたる感情もなく「さすがマスゴミだな」てなもんでしょう。

 そもそも、演出っていうのは観てもら人のためにするもんであって、製作者サイドのためにやるものじゃないですよね。この件に関して言えば、初めから撮り手に「こうなってほしい完成図」があるから不都合な部分は削除されるわけです。テレビは基本そうです。初めに恣意的な図がありきで、インタビューもサクサク切る。データも都合の良いものだけを使う。ただの自己満足です。そのような考えの持ち主は公共の放送の制作に関わるより小説や脚本など完全フィクションの世界にお引越しすればよいのですが、いかんせんパワーのある人間がまったくそれに気づいていない。

 ここに書いたようなことはすでに視聴者はだれでも気づいてるんですよね。わざわざそれっぽい専門家探してきても「へぇー」とも思わないし。わざわざネツゾーだなんだ言われるギリギリのライン攻めなくても、もうそんな思考能力で作ってる時点でそれはおもんない作品なことになぜ気付かないのか不思議でならんのですが、それは放送業界の閉鎖的だったりイビツな労働体系だったり、極めて特殊な村社会がそうしているのでしょう。

放送局は最大のブラック企業

 これも知られていることですが、ブラック企業を糾弾する放送局こそが極めてブラックな企業です。同一賃金同一労働なんてなったらテレビなんて作れませんよあなた。なんせ1000万プレイヤーと同じことかそれ以上のことをしてる人がいくらでもいるんですからね。でも何年もそれでやってきている業界は自分で思っている以上に自らの異質さに気付いてないんです。公金をジャブジャブ使う官僚や公務員と同じ感覚ですかね。

 テレビ制作者は極悪人なわけじゃないと思うんです。こうやって視聴者を騙してでも面白くしてやろうとか、黙って俺様が作ったモノを観ろとか、そんな人は、もしいたとしても一握りでしょうし、それじゃ信頼無くして消えていくでしょう。要するに「全体悪」の領域に入ってしまってることに組織内の人間が気付いてない。

自らの悪に気付かない凡庸さが過ちを繰り返させる

 ひどい例えですがナチスドイツと同じです。ハンナアーレントがナチスについて「悪の凡庸さ」を論じました。放送界で繰り返し起こるこのアホな問題は、同様だと言えます。普通の人間はウソと演出に境界線なんて探しません。それはまったく違うところにあるものだからです。それに気づけないほど一般論に対して制作者は無能者と言わざるを得ません。悪貨は良貨を駆逐すると言います。このようなことをする人物が有能な制作者を、より働きにくくするという悪循環は非常に残念です。

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